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債務整理方法の選択

現在、債務整理の方法としては、破産、個人再生、任意整理の3つの方法がある。
弁護士が多重債務者から債務整理を受任した場合、上記3つの方法の中からどの手続が最も妥当か判断しなくてはならない。
手続の選択において、相談者本人の意向が最優先であることは当然であるが、弁護士は専門家としてその事案にどの手続が最も妥当かを判断し、相談者に弁護士の判断を伝え、相談者と意見を異にする場合には相談者を説得することも必要になる。

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任意整理の検討―原則論

弁護士が債務整理の相談を受けた場合、まず任意整理の可否を検討するのが一般であり、任意整理が不可能な場合に破産や個人再生といった法的手続の検討に入ることになろう。
まず、ある事案を任意整理によって処理するには、原則36回で支払いを終えることが可能であることが望ましい。
任意整理とは、裁判所による手続を経ず代理人が債権者である貸金業者と交渉し、履行可能な範囲に債務を限縮し、分割払い等の支払方法を約して和解契約を締結する手続である。
ほとんどの貸金業者は3年、36回までの分割払いには応じるが、それ以上に長期の分割払いには難色を示す貸金業者が多い。
他方、3年以上にわたって債務の返済を最優先にした倹約生活を続げることのできる債務者は少ないという事情もある。
極言すると、任意整理とは、債務額を限縮して、これを36回以内に支払う手続ということができ、限縮した債務額を36で除した額が、1か月の返済可能額の範囲内にあれば任意整理により処理できる可能性が高いということができるであろう。

(1)債務額の確定
各債権者から取引履歴の開示を受け、それをもとに利息制限法所定の利率に基づいて債務額を計算し直して、債務額を確定する。現在の約定金利は、出資法5条2項の規定する29.2パーセントかこれをわずかに下回る利率であることがほとんどであるから、引き直し計算により債務額は限縮する。
相談時においては、どの程度債務額が限縮するかを見通す必要がある。
平成12年6月1日に出資法の上限金利が年40.004パーセントから年29.2パーセントに引き下げられた昿約定金利が年40パーセントの場合、仮に債務額が50万円前後で一定するように借入れと借増しを繰り返した場合、取引期間が約3年半で引き直し後の残高がゼロになる。
約定金利が29.2パーセントの場合は約5年半で引き直し後の残高がゼロになる。
それ以上に取引が長期に及べば過払いとなる。
なお、債務額が増加傾向にあるときは引き直し後の残高がゼロになるまでの期間が上記よりも長くなるし、債務額が減少傾向にあるときは短くなる。
以上を参考に大まかな見通しをつけることができる。
なお、出資法5条2項の金利が29.2パーセントから20パーセントに改正され、この施行が近付いていることから、現在では利息制限法所定の利率での融資を始めた貸金業者もある。
その場合、金利引下げ後の取引については引き直し計算による債務額の限縮がなくなるが、金利引下げ前の取引については引き直し計算により債務額が限縮するので、引き直し計算による債務額の限縮は見込める。
ただし、これまで相談者が支払いに行き詰まって弁護士に相談にきた場合であっても、引き直し計算によって債務額が大幅に限縮し、これにより任意整理が可能となる場合が多かったが、今後は、引き直し計算による債務額の限縮の余地が少なくなるので、任意整理が不可能となる場合が多くなると考えられる。

(2)毎月の返済可能額
毎月の返済可能額は、債務者の収入と支出の状況によって決まるが、弁護士は本人の申告額をそのまま鵜呑みにしてはいげない。
本人がこれまで毎月返済してきたと申告する金額は、借り増した金額が全額考慮されているとは限らず、不正確なことが多い。
またそれまでの切りつめた生活を更に長期間継続することが困難であることは明白である。
弁護士に依頼し、債権者への支払いを止めて一息つくと、それまでの借金返済に追われていたときのような切りつめた生活はできなくなる(任意整理が可能であっても破産を望む人が多いのも同様の理由による)。
受任の際に任意整理の可能性が高いと判断される場合は、より正確な返済可能額を算出するために、相談者に家計簿をつけさせることは有効である。
ただ数か月間家計簿をつけた結果算出された返済可能額の全額を返済に回すことはできない。
3年の間には予想外の出費もあるし、アパートを借りている場合の更新料のように2年に一度確実に発生する出費もあるからである。
逆に収入が下がる場合もある。昨今の経済状況では、定期昇給は望めないし、業種によってはボーナスが大幅に減少することもあり、ボーナスを返済可能額算出に当たって考慮することには慎重であるべきである。
毎月の返済可能額については、「手取り収入から住居費を除いた額の3分の1」と言われることがある。
これは目安としては有用であるから、相談時に任意整理として受任するかどうかを判断する際には用いられてよい。

(3)相談者の返済意思
任意整理においては、相談者の任意整理に向けた強い意思が重要である。
任意整理は今後3年近くにわたり生活を切りつめて返済を継続するのであるから、相談者の意思が弱ければ途中で返済は滞ってしまう。
しかしながら、相談者の任意整理に向けた強い意思があるからといって、余りに生活の余裕のない返済計画を立てることは避けなければならない。

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